真野地区、西三川に「日本最後のトキ餌付けの地 宇治金太郎さんとキンちゃんの碑」があります。“キンちゃん”とは、日本の野性生まれの最後のトキ、キンの事です。保護した宇治金太郎さんの名から1字もらい、“キン”と名付けられました。
昭和43年(1968年)、一羽のトキの幼鳥が、ここ真野の地に迷い出てきました。当時、野性下のトキの数は減り続け、絶滅が危惧されていました。この幼鳥は、群れからはぐれて真野まで来てしまったのです。
そこで、真野町から依頼を受けた宇治さんが、毎日このトキの監察員を務めました。やがて宇治さんの手のひらから餌をついばむ程になりました。宇治さんも「トキ子」と呼び、我が子のようにかわいがりました。
ここまでトキと心を通じた人は、他には居ないそうです。
しかし、翌年の春に、宇治さんはトキ子の保護を依頼されます。悩んだ末、宇治さんはトキ子を保護しました。トキ子を保護した際、宇治さんは大粒の涙を流したと伝えられています。宇治さんは、生涯、トキ子の長寿と子孫繁栄を願い続けたそうです。トキ保護センターに移されたトキ子は、キンと名付けられました。
キンは子孫こそ残せませんでしたが、推定36歳と鳥類としても異例の長生きをします。
他のトキが死んで行き、最後の1羽になっても生き続けました。その間の飼育の記録は、トキの人工飼育技術にたいへん大きな功績を残し、中国のトキ繁殖にも役立てられました。やがて、中国から佐渡へ贈られてきたトキの数が順調に増えていた事を見届けたかのように、キンは宇治さんの元へ旅立って行きました。
この記念碑は、宇治さんとトキの話を後世に伝えようと、平成21年(2009年)に建てられました。宇治さんがはじめてキン(トキ子)に餌付けをした地と言われています。
国道360号線に、目印になる看板があります。(看板から碑まで、車で概ね15分ほど)